世理奈

世理奈の既発シングル2枚を買った。インディーズ盤『琵琶湖周航の歌』とメジャーデビュー盤『消える想い』。

この前は「落ち着いた Leyona」などと。なんて適当なコメントだ。あながち間違いでもないけれど、姉妹ということを考えなければこれは違う声質だな。姉は『土の匂い』がする声、妹は『雨の香り』がする声、といったところ。いや、単に乾湿だけを言いたいんじゃなくて、憂いだとか、それぞれの持つ雰囲気も含めてのこと。

『琵琶湖周航の歌』はいわゆる愛唱歌で、加藤登紀子が歌ってヒットしたらしい。そのリメイク。七五調の詞。こういう歌を聴いて「いいなあ」と思うのは老いた証拠なんだろうか。それはともかく、こういう歌に違和感がない声は今や貴重だし、すばらしく朗々と歌い上げている。『大切なモノ』はスローな自作曲。一語一語を大事にしていて、好感が持てる。

僕をとらえたのは『消える想い』。決して派手じゃないサビがなぜか耳に残る。「...してる、...てゆく」とウ段の音が繰り返されるサビ。こういうミドルテンポの曲をもっと聴いてみたい。『MEBAE』はレゲエな味付け。曲はいいけど、詞はところどころの英(単)語や言選りが今一つ。メロウな『場所』はアルバムの最後を締める曲になりそうな佳曲。

「売れてほしいけど、売れてほしくない」と思わせるアーティストに出会うのは久しぶりだ。次のシングル・アルバムが待ち遠しい。

琵琶湖周航の歌 (CCCD)

琵琶湖周航の歌 (CCCD)

消える想い (CCCD)

消える想い (CCCD)