スピッツ『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ』
いわくつきのアルバム、らしい。契約履行のためにベストアルバムで手を打つということは、アーティストの意向に沿うリリースかどうかは別として、よく行われる。で、これは沿わなかった一例なんだろう。シングルを年代順に寄せ集めたもので、スピッツは「聴くな」とさえ言っているそうな。スピッツの公式サイトを見ると、確かにこのアルバムは無かったことにされている。ディスコグラフィーに記述はなく、プロフィールにだけリリースの事実が淡々と。徹底しているなあ。アルバム志向のアーティストらしい頑固さが全開だ。
『青い車』をリリース前後にテレビで聴いたのが、スピッツとの出会い。どこか陰のある疾走感にぴくっときて、虜になってしまった。それも、もう 10 年以上も前。ただ、その当時はこれ以外の曲を聴いても『青い車』ほどじゃなくて、それきり。老いた今、あの頃それきりにした曲を聴くと、これが心に沁みる。売れてからのシングルは耳にしない方が難しかったのか、聴いたことがある曲ばかり。
アーティストの意志に反したアルバムでも、心を打つのだから仕方がない。1 曲 1 曲がまるで僕の過去の栞のよう。名曲揃いのこのアルバムを、僕はどうしても否定できない。
RECYCLE Greatest Hits of SPITZ
- アーティスト: スピッツ
- 出版社/メーカー: ポリドール
- 発売日: 1999/12/15
- メディア: CD
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